コトノハの調べ
ここはPBW、学園伝綺RPG【SilverRain(シルバーレイン)】世界に居る桜月・雛乃のブログサイトです。 主に活用される【綴り語り】は 、雛乃が出逢った人 場所がそのまま反映されます。 特にその事に関しての告知をしませんが、もし、その内容に不快を感じるならすぐ削除させて頂きます。 ですが出来るなら、どうか寛大なご理解と共にお許し頂けるととても嬉しく思います。
[35] [36] [37] [38] [39] [40] [41]
[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
つぶやき・・?
雛乃の影さん何か伝えたい模様です・・・
【第五夜】喪失・心の拠り所
休みでも何処かに出かけてしまう兄
一人残される家の中は、とても広く、静かで
もしかしたら兄は、このまま帰ってこないんじゃないか
不安になり、玄関で兄の帰りを何度か待っていた時もあった
でもそんな不安は、扉を開け
「ただいま・・」という兄の声で一気に消えてしまう
それだけ雛乃の中の兄の存在は大きい
そんな兄が
「雛乃・・今日は逢わせたい人が居るんだ」
兄とのお出かけ
こうして一緒に居るのは
本当に久しぶりだ
目的が何だとしても
兄と居られる時間が一番
「嬉しそうだね・・雛乃のそんな顔を見るのは
久しぶりのような気がするよ」
兄も嬉しそうに雛乃に言う
「お兄ちゃんとこうしているのが嬉しいの・・」
にこにこしながら答える
「僕も嬉しいよ」
兄と話しながら向かう先は・・
「・・・・病院・・?・・」
不思議そうに尋ねる雛乃に
「そうだよ?僕と雛乃だけになってから
色々相談にのってもらってるんだ」
「やぁいらっしゃい。よく来たね」
雛乃たちを迎えたのは
おじさんと呼ぶにはまだ若い感じの人だった
「お父さんの知り合いで、この病院の先生をなんだよ」
兄が目の前の人を雛乃に紹介してると
「小さな個人病院だよ・・
ここはね・・ 具合が悪いとかじゃ無くても
近所の人や子供達が来てね
おしゃべりしたり一緒に遊んだりね
私の本来の仕事をする事はあまり無いんだ・・
でもそれは・・・それだけみんなは元気だって事だよね
私はそれでも良いって思うよ・・
雛乃ちゃんも今度遊びに来ると良い」
嬉しそうに語るその医師を
雛乃は兄の後ろに隠れ、ただ・・こくんと頷くのだった
「それじゃ・・僕たち失礼します」
「・・・ばいばい・・」
2人はその医師におじぎをして後をしようとする
「あ・・ちょっと待ちなさい。少し話をしたいのだか・・」
雛乃たちを呼び止める医師
「・・・はい・・雛乃ちょっと待っててね」
医師に近づき兄は治療室に入り、
雛乃は長椅子のある待合室で兄を待つ
治療室に入った途端、兄はその場で崩れるように倒れる
「君っ!・・あれ程無理をしないようにと言っていたのに
今すぐに入院をしなさい。これは医師として言ってるのだよ
これ以上今の生活をしていく事は君には無理だ
もし君からあの子に言えないのなら、私が伝えよう」
医師の言葉に兄は苦しそうに
「待ってください・・せめて1日・・あと1日だけ待って下さい
僕からちゃんと・・
僕の口からちゃんと雛乃に伝えたいんです」
「・・・・解った。君の意見を尊重しよう。でもこれが最後だ」
「・・・感謝します」
・・・・その夜・・
「雛乃話があるんだ」
いつになく真剣な面持の兄に
雛乃は頷く事しか出来なかった
「雛乃に黙っていた事があるんだ
僕は・・僕の体はね・・病に侵されててね
今日逢ったおじさん憶えてるね?
おじさんに入院しないといけないって言われてね
だから・・
明日からおじさんの病院に入院しないといけないんだ」
突然の話・・
突然・・だったろうか?そんな気はしなかったか・・
最近兄が疲れた顔をしてるのを雛乃は知ってる
「でも・・でもお兄ちゃん・・・・
おじさんの所で入院して、病気治ったら
またこうして一緒に居られるんだよね?そうだよね?・・」
不安が広がる・・暗闇が広がってく
頷いて欲しい
『バカだな・・決まってるだろう』って
いつものように笑って欲しい
祈りにも似た願い
「雛乃・・・
いつかはあの星空の向こうにみんな逝ってしまうんだ
それが人によって早いか遅いかだけで・・・
みんな同じ場所にいくんだよ」
(『お兄ちゃん・・それはどういう意味・・?・・』)
言葉が出ない。変わりに涙が溢れてくる
そんな雛乃を見つめ
「変えられないんだ・・
お兄ちゃんを許してとは言わない。でも・・・現実なんだよ
だから・・ちゃんと聞いて
憎んじゃいけない・・恨んじゃいけないよ・・
そして・・自分のせいにしちゃいけない
雛乃が悪いんじゃないんだ・・
これはきっと僕の試練・・かも知れないね
・・・後の事はおじさんに全てをお願いしたよ
だから何か困った事があったらおじさんを頼るんだ」
雛乃は他人事のように兄の言葉を聞いてた
これは現実?本当なの・・?・・どうして・・?・・
兄はこの現実を受け入れ戦おうとしてる
結果の見えてる戦い・・・
その事に何の意味があるのか・・・
次の日
兄は雛乃に伝えた通りおじさんの病院に入院した
雛乃もその日より病室で寝泊りをするようになった
少しでも兄と一緒に居たいという気持ちもあった
顔色も以前より白く、体も痩せ
まるでベッドに体力を吸われていくようだ
口数も少なく、起きている時間もあまり無い
むしろ寝てる事が多く
起きてるとしても、辛そうにしてた
そんな兄に何も出来ない自分が凄く悲しかった
ここ数日で憶えた事・・声を殺して泣く事
兄を・・病と闘ってる兄に心配を掛けたくなかったから
だから・・兄が起きてる時は
兄が好きだと言ってくれた笑顔で居ようって・・
最近・・やっと思えるようになった
ある時
兄がめずらしく長い時間起きていた
窓を見つめてる兄
そこから見えるのは、初めて雛乃と出逢った場所
あの小高い丘の桜の樹が見えるのだ
「あの桜の樹もうあんなに咲いてるんだね」
まぶしそうに見つめる兄に
「うん・・とっても綺麗だね・・また一緒にあの丘に行って
お詩うたったら小鳥さん来るかな・・」
「そうだね・・来るかも知れないね・・・じゃ行ってみようか・・今から・・」
突然そんな事を言う兄に
「でもお兄ちゃん・・今は病気治さないと・・」
「今日・・今行きたいんだ・・連れて行ってくれないか雛乃・・」
有無を言わせない、いつもの兄とは想像付かない
強気な言葉に雛乃は頷いて
車椅子に兄を座らせ病室を出る
後ろから
「私に黙って何処に行こうと言うんだい。君たち」
医師の厳しい視線が雛乃たちを阻む
「あのね・・お兄ちゃん桜の樹見に行きたいって言うから・・
だから・・」
怖いと思いながらも医師に説明する
雛乃の言葉に兄の方に視線を向け
「勝手は困るよ。私も一緒に行こう・・
私は君の担当医だからね」
「僕たちだけで行かせて欲しいんです・・お願いします」
兄の何かの決意を垣間見た医師は、溜息をつき
「・・・・解った・・30分だけだからね・・
時間過ぎても戻らなかったら
迎えに行くよ・・解ったね?」
「・・・・ありがとうございます」
「・・・・綺麗だね・・」
小高い丘の上
心地良い風で枝が揺れ、桜の花びらがはらはらとおちる
兄は車椅子から降り、丘に寝転がり桜を見上げてる
何かが落ち着かない・・何だろう・・
病室でない兄との久しぶりの2人きり
そんな気持ちを誤魔化すように兄を膝枕する
「・・・ありがとう・・凄く楽になったよ
雛乃に逢ったのが、つい昨日のように思い出すよ
初めて雛乃を見た時、雛乃は僕が守る
そうして居たいって思ったんだ・・小さいながらね
雛乃は僕にとって大切な存在なんだよ・・今もそうだ」
兄の言葉に涙が出そうになるのを堪えて
「ひなも・・お兄ちゃんが好き・・・大好き・・」
兄はそんな雛乃を微笑みながら見つめ
「・・・・・もう少し雛乃が大きくなって
僕の前に好きな男の子を連れて彼氏を紹介するのかな・・
僕は許せなくて雛乃はお前になんかにやるものかって・・
・・それでも
雛乃が幸せだったら僕は許してしまうんだろうね
・・・そんな事・・してみたかったよ」
雛乃は
「・・・・元気・・になったら・・出来る・・」
やっと伝え出た言葉はそれだけだった・・
話したい事たくさんあるのに、上手く伝える事が出来ない
頭の中がもやもやしてて考えられない
「ごめんね・・
僕はそろそろ星空の向こうに
逝かなくてはいけないみたいだよ
自分の事だからね解るんだ
最後にね。ここに来たかったんだ・・雛乃と2人で」
何かが雛乃の中で弾ける
「やぁっ・・・やだぁ・・お兄ちゃん・・・
お兄ちゃん逝っちゃやぁ・・
逝くなら、ひなも連れて行って・・ひなも行くの・・」
我慢してた心の感情が飛び出す
止める事の出来ない涙は、兄の頬に伝う
雛乃の頬を撫で涙を拭ってあげながら
「雛乃・・・雛乃は僕の分まで
・・僕たちの分まで生きて
生きてこれからの雛乃を・・
大きくなる雛乃を僕たちに見せて・・・」
雛乃は首を振りながら
「一人じゃ・・ひなはダメなの・・
お兄ちゃんが居ないとひなは生きてけない・・
これ以上大切な誰かが居なくなっちゃの・・・やだよぉ・・」
「雛乃・・雛乃泣かないで・・
一人じゃないよ・・雛乃は一人じゃない
僕たちはいつでも雛乃を見守っているから・・
雛乃が淋しい時・・傍に居れないかも知れないけど・・
その時は星空を見て祈って・・きっと願いは届くから・・・
だから笑って・・泣かないで・・
雛乃の悲しい顔は見たくないよ・・」
「願いが届くなら・・お兄ちゃんを連れてかないで・・
連れて行くならひなも一緒に連れて行って・・
それが叶わないのなら・・ひなは・・何も要らないっ!!」
「雛乃・・・雛乃ごめんね・・
泣かせてごめん・・・
雛乃・・・僕の大切な・・雛乃・・大好きだよ・・・」
その言葉を告げると力が抜けて
目を瞑った兄は、二度と雛乃と言葉を交わす事も
自分を見つめ、微笑む事は無かった
「やぁぁぁぁぁ・・・・・・」
兄のお葬式が滞りなく終わり
家族と過ごしてた家は売り払われ
今雛乃は、後見人である医師の家に世話になっている
あの日・・医師が駆けつけた時
混乱・狂気状態の中
決して誰にも兄を触らせるようとしない雛乃を
無理に引き離されから
雛乃はまるで表情を無くした人形のように
言葉紡ぐ事を忘れてしまったようだった
そして詩をうたう事も・・・
・・・ただ・・兄からプレゼントされた
ウサギのぬいぐるみは離さず、ぎゅっと抱いてた
・・・・それから数ヵ月後
兄が生前に入学の手続きをしてた
銀誓館学園を訪れる事となる
【第四夜】暗雲・嵐の予兆
両親がこの世を去り、兄との2人暮らしが始まる
一緒に過ごせる時間も短くなったけど
決して淋しいとは言わない・・言えなかった
兄が大学を辞め、働いている事を知っているから
その兄が最近疲れた顔をしてるのが心配
「遅くなってごめんね雛乃。今ご飯の支度するからね」
兄はちゃんと休めているのだろうか?
「・・お兄ちゃん・・ひなだって少しくらいお手伝い出来るよ?
だから・・あんまり無理しないで・・」
雛乃は自分の出来る限りの事はしたいと思ってる
だが兄は
「そんな事雛乃が気にしなくて良いんだよ?
僕は大丈夫だから」
雛乃の頭を撫でながら休む間もなくキッチンに向かう
(ひなだって・・出来るのに・・・)
兄の後姿を見つめるばかりだった
「あ・・そうだ雛乃この包みを開けてごらん」
一通り終え、ソファでくつろいでいる時
兄が雛乃に大きな包みを渡す
「・・?・・なぁに・・?・・」
兄に尋ねる雛乃に
「雛乃には淋しい思いをさせてるんじゃないかと思ってね
あるお店で見つけてきたんだよ?
気に入ってくれると嬉しいけど・・」
包みを開けてる雛乃に微笑みながら答える
中から出てきたのは・・
「わぁぁぁ・・・・うさぎのぬいぐるみ・・・」
瞳をキラキラさせそのぬいぐるみをぎゅってしてる
「お兄ちゃん・・お兄ちゃん・・嬉しい・・ありがとぉ・・」
うさぎのぬいぐるみをぎゅってしながら
飛びつくように兄に抱きつく
そんな雛乃を抱きとめながら
「気に入ってもらえて嬉しいよ・・雛乃の新しいお友達だよ?
淋しくないよね・・?」
何気ない兄の一言が雛乃には何か引っかかる。兄を見上げ
「・・・お兄ちゃん・・どこか行っちゃ・・・の・・?・・」
不安げに見つめる少女に
「・・・・雛乃・・もしお兄ちゃんが居なくなったら
・・どうする?・・」
考えても見ない一言が兄から返ってきた。雛乃は涙をため
「やだっ・・何処にも行っちゃ・・・行っちゃ・・やぁ・・」
力いっぱいぎゅっと抱きついて泣きじゃくる
そんな雛乃をなだめるように
「ごめん・・・ごめんね・・もしって話だよ・・
僕だって雛乃を残してどこかに行く事なんて出来ない
大丈夫。何処にも行かないよ・・」
それ以上兄はこの少女に何も告げる事が出来なかった
「ひっく・・一人にしないで・・一人にしちゃ・・やなのぉ・・」
大切な誰かがこれ以上自分の前から居なくなるなんて
そんなの絶対にやだ
も・・・大切な誰かを失いたくない・・
今にも消えて居なくなってしまいそうな錯覚を憶え
雛乃は、この大きな暖かい温もりを無くしたくなくて
兄に離れなかった
そんな雛乃を兄はただ抱きしめるしかなかった
次の日の朝
「雛乃・・今日は少し遅くなりそうなんだ。ちゃんと戸締りして
夕飯は冷蔵庫に作ってあるから、温めて食べるんだよ」
「・・・うん。解った・・」
昨日の兄の言葉が雛乃を暗くさせる
「・・・それじゃ行ってくるね」
少し溜息をつきながら、雛乃が元気が無い原因は解ってる
兄は雛乃の頭を撫で家を出る
「桜月に続いて君までこんな事になるとは・・・」
ここは両親の知り合いの個人病院
両親が亡くなって、色々相談にのってくれてる
唯一信用できる大人の一人だ
「君の病気は手の施しようがない長くて1ヶ月・・・
医者として不甲斐ない
大切な友人を失い、またこうしてその息子まで
何も出来ないなんて本当情けないよ
何の為の医者なんだろうね」
はき捨てるように言う
「先生・・そんな自分を責めないで下さい
体の不調を予兆してたのに
僕が放っておいたのが悪いんですから
こうして大切な妹を残して逝こうとする
・・・・・・むしろ自分が憎いですよ」と自嘲気味に笑う
「僕は、僕の事を受け入れるにはまだ幼い雛乃が心配です
このような事、先生に頼むのは筋違いかも知れませんが
どうか・・妹の支えにはなっては頂けないでしょうか?
後見人として・・お願いしたのです
親戚の者は雛乃を良く思ってない
だから僕が居なくなった時雛乃が阻害されたら・・僕は・・」
拳を見つめながら、唇を噛む
そんな兄を見た医者は
「私は君達の身内ではないが
出来るだけのサポートはするつもりだよ
それが桜月に何も出来なかった私の償いになるのならね」
「ありがとうございます」深々と頭を下げる
「君もあまり無理しないように命を削るようなものだからね
何か困った事があったら、すぐ相談して来なさい」
「・・・はい。今は雛乃と出来るだけ一緒に居てやりたいです
・・・いいえ・・僕自身もそうしたいと思います」
雛乃は空を見上げてる
「お父さん・・お母さん・・今日はど・・して・・現れないの?・・
ひな・・コワイ・・・お兄ちゃんまで連れて行かないで・・・」
雛乃の声は虚しく響く
星が一つも無く
どんよりと雲がかかっており
今にも泣き出しそうな夜空だった
【第三夜】存在・突然の別れ
色んなお話をする
好きな物・好きな場所・好きな季節・好きな・・・
お話するのは楽しい。
それだけで自分がここに居て、今生きてる事を実感できる
誰かが自分がここに居るって事を認めてくれている
このシアワセがずっと続いて欲しい
時間がある時はあの小高い丘の桜の樹の下に行く
以前は
そこを見るだけで哀しくて、淋しくて涙が出てきたけど
今はこの目の前に居る大スキなお兄ちゃんと
大切な時間を共有出来る癒しの場所になった
ひなが詩を歌うと
優しい笑顔で聴いてくれるお兄ちゃんが居る
その笑顔が大スキでずっとそうして欲しくて詩を歌う
だからひなは詩がスキ
そして今日はサプライズな訪問者にも出逢えた
兄が指をさしながら、樹の枝にとまっている
小鳥たちを見て微笑む
雛乃も微笑みながら詩を続ける
小鳥たちは雛乃の詩に合わせさえずっているように思えた
家路に向かう帰り道
「今日は凄く楽しかったね。小鳥さん達もきっと雛乃の詩を聴きに来たんだよ」
手を繋いで歩く。ただそれだけなのに凄く嬉しくて
「うん♪また小鳥さん来てくれるかな?・・また一緒に歌えると良いなぁ・・」
そんな雛乃の返事に微笑んで
「そうだね。きっとまた来てくれるよ」
夕焼けの紅く染まる空に
2人の影は仲良く並んで歩いてた
自宅近くの人だかりに胸騒ぎをする兄
「何だろう・・何があったのかな」
少し急ぎ足で自宅に向かうと、こちらに気づいた一人が
「何処に行ってたんだいっ!?大変なんだよ!
お父さんとお母さんがっ!!」
それは・・曲がり角でちょうど死角になってた交通事故
両親が渡ろうとした時、突然ダンプカーが突進してきたらしい
父は母を庇い即死
母はそれに追うように息をひきとったらしい
今朝、出掛けて行った両親
「今日は早く帰って来られそうよ?そしたら一緒に夕飯作りましょうね」と母
「それじゃ父さんも早く帰れるように仕事頑張るぞ」と父
いつも通りの変わらない暖かな時間・・・・
それが一瞬でなくなってしまうなんて
・・・・そんな事あるのだろうか
「お兄ちゃん・・?・・お父さんとお母さんど・・したの・・?・・」
状況を把握仕切れてない雛乃は
兄の裾をくいくいひっぱりながら不安そうに見上げてた
兄は何も言わず雛乃を強く抱きしめ・・震えてた
「お兄ちゃん・・痛いよ・・ど・・したの・・?・・
どこか痛いの?・・泣いてるの・・?・・」
いつもと違う兄の様子にきゅっとしながら問いかけをした
雛乃の知らない人達が両親のお通夜・告別式を執り行う
兄はあれ以来口数が少なくなった
そんな兄の態度に戸惑いながらもずっと傍に居た
「お兄ちゃん・・何でみんな泣いてるの・・?
お父さんとお母さんは何処に行ったの?・・」
兄はただ雛乃を抱きしめ頭を撫でるだけ
そんな兄が苦しそうで、雛乃は問いかけるのを辞めた
葬式から何日か過ぎたある日
親戚達が集まり、雛乃達のこれからを話し合っていた
「私達はもともとこの家とあまり付き合っていた訳じゃないし」
「私達だって自分たちの生活で手一杯だ。
他の子を預かるなんて無理だ」
「それに・・・・私達と全く血の繋がってない子まで居るんでしょう?」と忌々しげに雛乃を見ている大人も居た
大人達は言いたい放題の擦りあいだった
自分達の事しか考えてない
他人なんてどうでも良い
むしろこの厄介な話を早く終らせたい
そんな雰囲気だ
「・・・・お兄ちゃん・・」
不安げに雛乃が自分の手を握る
自分を見つめるこの少女を護れるのは自分しかない
自分がしっかりしなくてはいけないのだ
全ては自分達の為に。
何より大切なこの少女の為に。
意を決し、兄が話に参加する
「僕達は2人で暮らします。誰にもご迷惑はかけません」
「何を馬鹿な事を言ってるんだ!
子供2人だけで暮らせる訳無いだろう」
自分達を擦りあいしてた大人達は口々にうろたえる
「僕たちに両親は、住む家を残してくれました
当面は暮らせる遺産もあります
僕は、大学を辞め就職しようと思います
だから大丈夫です」
雛乃を護るように抱きしめたその兄の眼差しは
何かがふっきれ、決意に満ちた瞳をしてた
大人達は何も言えず、ただ黙り込むしかなかった
大人達が帰り、静寂の夜を迎える2人は
「雛乃これからは2人で頑張ろうね。
お父さんとお母さんにはもう逢えなくなっちゃけど
泣いたらいけないよ?ほら見てごらん・・
このたくさんの星の何処かで
僕達を見守ってくれてるんだからね?」
窓を開け、星空を見てる
「このたくさんのお星さまの
どれかがお父さんとお母さんなの?」
「そうだよ。だからいつでもこの星空に声を掛けてごらん
きっと願いは届くから」
微笑む兄を見て、いつもの兄だと思う
「うん♪お父さん、お母さん
ひなね・・お兄ちゃんと頑張るからね」
大丈夫・・
哀しいけど・・泣きそうになるけど
・・でも泣かない
だってひなには大スキなお兄ちゃんが
傍に居るから。。。
「お兄ちゃん・・ずっとひなの傍に居てね・・約束・・」
「ずっと傍に居るよ」
【第二夜】不安・気持ちの開放
自分はシアワセだと思う
きっとシアワセ・・
ほんとの家族じゃないけど
ひなには家族が居る
笑顔で迎えてくれるお母さん
心配性なお父さん
そして・・
ひなを見つけてくれた優しいお兄ちゃん
でも・・
頭の中でシコリとして残ってしまってる
小さな不安・・大きな疑問
あの日・・・
この窓から見える小高い丘の桜の樹の下で
ひなは実の母親に捨てられたのだ
・・・・・・どうして・・?・・
ひながワルイ子だったから・・?
邪魔になったから・・?
・・・・要らなくなったから?
考える事は悪い事ばかり・・
ふと涙が込み上げてくる
「・・・・っく・・・・ぅ・・・」
部屋をノックする音と共に兄が部屋に入ってくる
「まだ起きてたの?・・・・・雛乃・・泣いてるの?」
慌てて目をこすって涙をぬぐおうとするが、止まらない
そんな雛乃を切なそうに見つめ
「こっちにおいで・・ほら見てごらん。星が綺麗だね」
雛乃を抱き上げ、窓を開けて満天の星空を見つめる
「感情を無理に抑える必要は無いよ?
泣きたい時は思いっきり泣けば良い・・
でも一人で泣いちゃダメだ
そんなのは淋しすぎるからね
そういう時はいつでもお兄ちゃんを呼ぶんだよ?
いつでも雛乃の傍に居るから」
自分の中で何かが解けていくのを感じた
閉ざしていた何かがカシャンと音を立てた気がした
気持ちの楔が取れ、兄の胸で思いっきり泣いた
ひなは一人じゃない・・この人が傍に居てくれる
ずっと・・・一緒・・
カウンター
カレンダー
06 | 2025/07 | 08 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
プロフィール
☆綴り語り
⇒出逢い・経験した物語を綴る場所
☆詩
⇒自分のお気に入りの詩紹介・もしくは想う事を詩に書き記した場所
☆イラスト絵日記
⇒完成したイラストを雛乃が日記で紹介する場所
☆雛乃日記
⇒雛乃の呟き場所
☆影さん事情
⇒PLの呟き場所
【呼び方】
☆下級生・同級生
⇒《女の子》名前+ちゃん
《男の子》名前+くん
☆上級生
⇒《女の子》名前+お姉ちゃん
《男の子》名前+お兄ちゃん
※メッセ登録の際は、
お手紙にてご連絡下さい
【hina-usa@hotmail.co.jp】
最新記事
最新コメント
リンク
最古記事